地球の人口は、50年後には100 億人を越えるといわれています。私たちがより多くの食糧を確保するためには、乾燥や高温、低温などの厳しい環境や、病虫害・塩害などに強い農作物をつくる必要があります。そこで、品種改良の切り札として登場したのが遺伝子組換え作物です。遺伝子組換え技術では、すでに存在する優秀な農作物の性質を損なわずに、新たな特性を与えることができるのでその効果に期待が寄せられています。
 
 例として、海外では除草剤で枯れないダイズが栽培されています。このようなダイズでは、除草剤の働きをおさえる遺伝子が導入されており、除草剤によって雑草だけをうまく枯らすことができます。日本では、病気に強い、アレルギーになりにくい、日持ちが良いなどの特徴を持った農作物が遺伝子組換え技術を使って開発されています(別表参照)。
 
 遺伝子組換え作物の開発や利用には、賛否両論があるので、こうした技術を使って食糧を確保するためには、十分に安全性を確かめて、現状の生態系を乱さないようにすることが大切です。



パネル作成者: 安井 秀(農学研究院生物資源開発管理学部門)