金の標本は自然金,金鉱,金銀鉱などと名づけられており,標本数は20数個にのぼる.それらは産出状態により,(1)砂金として産するもの,(2)石英脈中に産するもの,(3)石英を主とする鉱石の灰黒色,縞目の部分,すなわち銀黒の中に産するもの,の3つに分けることができる.いずれも遊離した微細な金粒として存在する.(3)の一部は肉眼的には金粒を認めがたい.
枝幸産は(1)の型の砂金で,結晶形は確認できないが粒径は数mmに達する.
瑞芳産は(2)の型に属し,堆積岩中の石英脈の空隙に数mm程度の苔状の集合体をなしている.美しい黄金色を呈する.中瀬鉱山産は石英脈中に輝安鉱と共出する.
(3)の型の標本は多数ある.雄武威鉱山産,生野鉱山産は灰黒色の銀黒の中に金粒が点在している.肉眼的に金粒が認めがたい標本は,佐渡鉱山産,太良鉱山産,中瀬鉱山産,高玉鉱山,竹野鉱山産,大身谷産等の鉱石である.
手稲鉱山産,河津鉱山産,大谷鉱山産はテルル蒼鉛鉱を含む.沖ノ浦鉱山産は縞が輪状をなす輪鉱である. |