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III.硫塩鉱物

30. マチルド鉱
Matildite AgBiS
2
産地 栃木県西沢鉱山
西沢鉱山マチルド鉱は銀灰色,金属光沢を帯びた粒ないし塊状で,黄銅鉱とともに石英中に含まれる.

31. 毛鉱
Jamesonite Pb
4FeSb6S14
産地不明
毛鉱(産地不明)は閃亜鉛鉱,方鉛鉱等からなる鉱石の空隙に,金属光沢を有する鉛灰色,毛状の集合体をなし,水晶と共出する.長さは1cm以下である.

32. 濃紅銀鉱
Pyrargyrite Ag
3SbS3
産地 青森県安部城鉱山/栃木県西沢鉱山/産地不明
西沢鉱山産濃紅銀鉱は,石英脈の晶洞中に,暗赤色,径1〜2mmの小結晶が見出される.
結晶面としてはa (11-20),v (21-31),e (01-12)面等が認められる.
産地不明標本には,変質安山岩の径約1cmの晶洞中に,錐面を持つ短柱状の美晶が密生しているものが認められる.鮮紅色透明で,金属光沢を有し,径は1〜2mmである.

33. 四面銅鉱
Tetrahedrite (Cu, Fe, Zn)
12Sb4S13
産地 秋田県尾去沢鉱山/兵庫県生野鉱山/愛媛県別子鉱山
尾去沢鉱山四面銅鉱は灰黒色,粒状の集合をなし,部分的に径1cm前後の結晶を認める.晶相はo (111)面からなる正4面体である.ナカシマ(1908)の報告がある.
別子鉱山産は,帯紅灰黒色,金属光沢を有する径5mm前後の結晶の集合体である.晶相はn (211)面からなる3〜4面体と,さらにo ,r (332),d (110)面を伴うものとがある.片山(1934)の報告がある.
産地不明標本には灰黒色を呈し,3〜5mmのo ,a 面を主とする結晶でd 面を伴うものが存在する.

34. 脆銀鉱
Stephanite Ag
5SbS4
産地 秋田県院内鉱山
院内鉱山脆銀鉱は石英脈中に輝銀鉱と共出し,金属光沢,鉄黒色の結晶が見出される.c (001)およびb (010)面が発達し,d (021)あるいはt (023)面を伴っている.類似の外観を有するが,底面が発達し,径5mm程度の6角板状を呈すものも認められる.

35. 硫砒銅鉱
Enargite Cu
3AsS4
産地 台湾金瓜石
硫砒銅鉱標本は5個あり,いずれも金瓜石である.黄銅鉱と共出し,大部分は塊状であるが,晶洞中に長さ7mm,径2mmの紫黒色,光沢の強い柱状結晶が群生している.結晶面はa (100),m (110),h (120)の柱面およびc (001)面からなり,柱面にはC 軸に平行な条線が認められる.またc (001)面には,柱面からなる凹みがある.金瓜石の硫砒銅鉱については渡辺(1936)の形態的研究がある.

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