石膏標本は10個以上あるが,外観上次の3種に分けられる.
(1) 無色透明に近く,b (010),m (110),l (111)面から成る菱形板状で,透石膏seleniteと呼ばれるもの.静川村産はこの型に属する.a
軸方向に約10mm,b 軸方向約5mm,c 軸方向約20mmの美晶である.m 面にはc
軸に平行な条線が明瞭である.この他に,c 軸方向の長さが8cmに達する板状結晶,小結晶の連晶と燕尾双晶を成すものなどがあるが,いずれも産地不明である.
(2) 繊維状のもので絹糸光沢を有し,繻子石膏stain sparなどと呼ばれるもの.松代鉱山産などがある.無色ないし白色,半透明で石膏脈として産したものである.
(3) 繊密な塊状をなし,雪花石膏alabasterと呼ばれるもの.秋田県産がこの型である.淡橙色,繊密塊状をなす.
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