ウナギの仲間

 ウナギの仲間は世界から19種・亜種が知られています。このうち温帯域に分布するのはニホンウナギをはじめ6種で、残りの13種は熱帯域に分布します。

 ウナギの祖先は、今からおよそ1億年前、恐竜の仲間が繁栄していた白亜紀に出現したと推定されています。また、最近の遺伝子の研究から、ウナギの仲間は中深層に棲むノコバウナギやシギウナギなどの外洋性のウナギ目魚類と親戚関係にあることがわかってきました。

 熱帯域は海よりも淡水域の方が栄養豊富なので、これら深海魚の共通祖先から分かれて、淡水域に入るようになったものが、海と川を行き来するウナギになったと考えられています。

 

ウナギの一生

 ウナギは海で産卵します。その水深は約200mで、深海底ではありません。

 卵から孵化した仔魚は透明でオリーブの葉のような形をしており、レプトケパルス(葉形仔魚)と呼ばれます。葉形仔魚は成長しながら海流によって沿岸に向かって輸送されます。台湾東方海域に着く頃、最大伸長期に達した葉形仔魚は変態をはじめます。変態中は餌を食べません。変態後の稚魚はシラスウナギと呼ばれ、河口域に集まってきます。産卵場から河口に来るまで約半年かかります。着底後、摂餌を開始し、クロコとなります。クロコは川を遡上し、やがて定着生活を始め、この時期のウナギは黄ウナギと呼ばれます。雌雄共に数年から十数年、おもに淡水域や汽水域で成長した後、秋から銀化と呼ばれる変態が始まり、体はいぶし銀様に光り、銀ウナギと呼ばれます。銀ウナギは秋から初冬に川を下り、外洋を何も食べずに泳ぎ続け、産卵場にたどり着いた銀ウナギは産卵して一生を終えるのです。

 

 

ウナギの銀化変態と産卵回遊

 ウナギは、川や湖で5年から10数年生活した後、黄ウナギからいぶし銀のように褐色に輝く銀ウナギへと変態して、産卵場への長い旅に備えます。

 銀ウナギへの変態に伴う形態の変化をみると、最初に気づくのは目が大きくなっていることです。ウナギは産卵回遊時、日の出とともに潜行し、昼は水深500-800mを遊泳し、太陽照度と遊泳深度間には相関関係が見られ、深い深度でも太陽光を感知していることが明らかになりました。また、日没とともに上昇し、夜は水深150-300mを遊泳し、月齢、月出、月没と遊泳深度が関連しており、月光を感知していることが明らかになりました。光が少なく暗い海の中で、太陽光や月光を感知するためや敵を察知するために目が大きくなっていると考えられます。次に目立つのは大きくなった胸鰭です。胸びれは遊泳時のバランスをとる為と考えられています。また、産卵場に向かう間、ウナギは餌を食べないので、口は川で生活していた頃よりも小さくなり、歯も脱落します。

 

 

 

 

ニホンウナギは絶滅危惧種

 日本の内水面におけるウナギ漁獲量経年変化(農林水産統計年報)をみると、ニホンウナギの資源は1970年前後の最盛期に比べると約10%にまで減少したことがわかります。

 原因として、乱獲、河川環境の悪化、海洋環境の変化があげられています。また、ニホンウナギは完全養殖に成功しているが(水産総合研究センター)、コスト低減を含む大量生産技術は未確立であり,現在,養鰻用種苗は100%天然のシラスウナギに依存しています。

 日本におけるシラスウナギの採捕量は1960年代始めに200トン以上を記録したが、1980年代以降は30トン以下で推移し、2010年からは4年連続の不漁(10トン以下)となり、養鰻業に多大な影響を与えています。

 

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