初期微小天体はどこにあったか?
Pathway to the Birth of Solar System

 隕石母天体の初期微小天体が形成されていた当時、隕石母天体には銀河宇宙線という太陽系外から降り注ぐ高エネルギー粒子と太陽風と呼ばれる太陽から降り注ぐ粒子が照射されていました。
 図に示されている各フラックスの特徴を基にして隕石母天体が形成されていた当時に太陽系内のどこにあったかということがわかります。


距離をどのようにして求めるのか?

 月の太陽からの距離はわかっているので、月に単位時間当たりに照射される太陽風起源希ガスの量と隕石母天体に単位時間当たりに照射される太陽風起源希ガスの量を比較すればよいのです。また、単位時間というからには照射を受けていた期間が必要になります。その照射期間は銀河宇宙線により生成される希ガスの量から求めます。


実際には?

月隕石と隕石中に含まれる希ガス
(He,Ne,Ar,Kr,Xe)を調べればわかります。

何故希ガスで調べるのか?

(1)太陽風に含まれる希ガスの同位体比と銀河宇宙線により生成される希ガスの同位体比が異なるから。
(2)希ガスは他の元素と反応しにくいので過去の大きな出来事を確実に今日まで伝えることができるから。
(3)希ガスは地球上では大変希な元素であるために、隕石試料の分析に際して、地球希ガスの影響が少ないから。



隕石中の希ガスを質量分析計と呼ばれる装置で
分析すると下の図のような結果が得られました。


Yamato-75029隕石とつくば隕石の希ガス分析結果
左の図からわかること

つくば隕石
(1)照射期間が長い。
(2)照射された太陽風の量が少ない。
単位時間当りに照射される太陽風の量が少ない。
母天体は太陽から遠かった。

Yamato-75029隕石
(1)照射期間が短い。
(2)照射された太陽風の量が多い。
単位時間当りに照射される太陽風の量が多い。
母天体は太陽に近かった。


この結果を解析すると

上の図を見ると、上の考察で示したとおり、Yamato-75029隕石母天体はつくば隕石母天体よりも太陽に近い場所にあったということがわかります。


初期微小天体の公転軌道は現存する小惑星の公転軌道の範囲にありました。


初期微小天体は小惑星帯にありました。

パネル作成者: 中嶋 大輔、中村 智樹(理学研究院地球惑星科学部門)

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