生物の絶滅と進化(1)
Extinction and Evolution

図1. 

  地球上に生物が大量に出現したのはカンブリア紀の5億7500万年前と言われています(左図)その後,進化と絶滅をくり返し、古生代の終わりの二畳紀(ペルム紀)には、その当時の生物群の3/4が地球上から消えたと言われています.その原因と考えられる出来事はいくつかありますが、定説はありません.



 古生物研究室では1965年頃より全国の研究者で「東南アジア古生物研究会」を組織し、おもにタイ、マレーシアの地質・古生物の調査研究を行ってきました.大量の化石資料をもとに研究を継続した石橋研究室は現在タイ国を中心に古生代末の生物の絶滅やその原因を卒業研究・大学院の学位研究で、またタイ国の政府機関である地質調査所やチュラルンコーン大学と共同で調査・研究を行っています.その結果の一部を2001年8月の中国における国際シンポジュームで発表しました。


タイ国におけるP-T境界
 調査地はタイの北部です(図2、図3).この地域には古生代、中生代の地層が広く分布しています.5年以上かけて幾つかのルートをきめ、試料を採集し、その中に含まれる生物が地層の順序にしたがってどの様に変化するかを調べます.その結果が図4です.それら化石写真の一部を示します(図5−6).

図3. Pha Phlung山(795m)の東斜面を望む。
   石灰岩で構成されている。


図2. 二畳系ー三畳系境界の調査地域


化 石 群 集

紡錘虫化石が消滅してから小型有孔虫(Colaniella属)
が生存し(図4)、その上部にはドロミチク石灰岩(Mgマグネシュムを含む)が重なっています.これまでは中国や東南アジアの他の地域では紡錘虫のPalaeofusulinaの消滅をもって二畳系の最後と解釈していました.しかし、まだその上部に数十メートルの地層があります.この地域の石灰岩層は三畳系が連続している箇所は発見されていません.Pha Phlung山の周辺に分布する頁岩層中からは石灰岩よりも上位にくるアンモナイト(Paratirolites, Tapashanitesなど)が産出しています.この頁岩層が二カ所で、三畳系に接している場所が発見されていますが、現在のところ境界は断層が入っていたり、露頭が確認できません.しかし、化石の産出より境界の存在が判ります.(図5,6)

図4. 調査により解明された生物層序とその主な化石群集


図5.

図6.


パネル作成者: 石橋 毅、藤川将之、宇山隆二、杉山 武、盛田ひとみ(理学研究院地球惑星科学部門)

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