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- 白鳳3年(西暦674年)に対馬ではじめて銀が採掘され朝廷に献上された。これが日本最初の鉱山の誕生といわれている。
場所は現在の対馬の厳原町樫根である。江戸時代には対馬藩宗家によって銀、鉛を含む鉱石が盛んに採掘された。1903年佐須鉱山が、また1908年ファーブル・ブランド社が、それまで利用されなかった亜鉛の鉱石を採掘しはじめた。1941年からは東邦亜鉛(株)対州鉱山によって採掘が行われ、1960年代には年間2万トン以上の鉱石を生産したが、1973年閉山した。
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- 30本以上の主要な鉱脈が採掘された。代表的な鉱石鉱物は、磁硫鉄鉱(Fe1-xS)、閃亜鉛鉱((Zn,
Fe)S)、含銀方鉛鉱(PbS)である。対州鉱山は30数年間で鉱石を約500万トン採掘したが、その平均品位は鉛4%、亜鉛7%であった。
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- 野外地質調査、坑内鉱床調査、鉱物の絶対年代測定実験、流体包有物観察等の研究から、明らかになったマグマ貫入から鉱脈形成までの過程は次の通り。
- 30〜25百万年前:浅海のデルタ環境下で主に泥岩からなり、砂岩を挟む地層(対州層群)が堆積した。
約20 百万年前:地殻中を上昇してきた花崗岩マグマ(約900℃)が、地下6〜9km付近で対州層群中にとどまり、冷却しはじめた。
17〜16百万年前:マグマの周りの地層は520〜400℃に熱せられ、熱変成岩(ホルンフェルス)になった。
15百万年前:マグマが冷却固結して約400℃になると、マグマ成分から高塩濃度熱水が生じた。それには重金属が溶けていた。その熱水(鉱化溶液)が割れ目を移動し、地下水と混合して温度が下がり硫化鉱物の沈殿(鉱脈)を生じた。
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