29. 硫砒鉄鉱
Arsenopyrite Fe(As, S)2
産地 栃木県足尾鉱山/山梨県金峰山/大分県尾平鉱山 |
硫砒鉄鉱の標本は約10個あり,いずれも鋼灰色,金属光沢を有する結晶である.晶相はm
(110),c (001)面を主とする柱状のものと,m, c (014)面が発達する菱餅状のものとに大別される.
足尾鉱山産はm, c 面を主とする短柱状で,e (101)面を伴う.黄銅鉱と共出し,径5〜6mmである.
尾平鉱山産はm,
c 面のほかに小さなe 面を持つが,c 軸方向に長く伸びた柱状結晶である.径は数mmであるが長さは10cmに及び,柱状細晶が平行に近い束状集合をしている.水晶を伴う柱状結晶が密生した大標本を含む.同産には,長柱状結晶に混じってc,
e, m, a (100)面よりなる径3mm程度の扁平な結晶が認められる.a
面上にはb 軸に平行な条線が発達している.
金峰山産はm, c 面からなる結晶の集合であるが,大部分が(101)面を双晶面とする貫入双晶をなす.長径は1cm程度,c
面は不平滑で,彎曲している.
産地不明標本にはm, u からなり菱餅状の結晶が白色岩中に散在する.m 面は平滑で,金属光沢を持つが,u
面はa 軸に平行な条線を有し,彎曲している. |
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