長垂産リシア雲母はペグマタイト中のもので,美しい紅紫色を呈し,またその形態が多くの場合鱗片状をなすので,紅雲母,紫雲母,鱗雲母などと呼ばれる.柴田 (1934)をはじめ,多くの人の研究がある.標本は外観により次の3種類に分たれる.
(1) 径15mm程度の葉片状結晶の集合体で,結晶面が彎曲している.真珠光沢が強く,紅電気石を伴う場合が多い.
(2) 径1mm以下の微結晶の塊状集合体で,美しい紫色を呈し,「むらさきいし」と呼ばれてきたものである.
(3) 径3mm,厚さ2mm程度の6角板状小結晶の集塊で,底面は真珠光沢が強い.「鱗雲母」と呼ばれるものである.
蔚珍鉱山産も長垂産と同様に,紅紫色を呈する鱗片状微結晶の集塊である.
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