モンスーン気候とヒマラヤ・チベット山塊のテクトニクス
Monsoon Climate and Tectonics of Himalayan Range/Tibetan Plateau

大陸衝突の結果、アジア大陸中央部に誕生したヒマラヤ・チベット山塊は、地球の大気の流れの巨大な障害物となり、モンスーンという気候システムを生み出した。
・モンスーン気候はいつ始まり、どのように変化してきたのだろうか?
・ヒマラヤの上昇とモンスーン気候の盛衰にはどのような関係があるのだろうか?
・氷河期にはヒマラヤはどんな気候になり、地球全体の気候システムにどのような影響を与えたのだろうか?



ガンジス平原北部に広がる扇状地上を流れる網目状河川。手前からシワリ−ク丘陵、レッサーヒマラヤ、ハイヒマラヤのマナスル山群と並んでいる。中央ネパール


チベット高原からモンスーンの始まったヒマラヤ山脈を望む。ヒマラヤ山脈では降雨、チベット高原では乾燥。



1000~750万年前にインドモンスーンが始ったことを示す4つの証拠

1. ヒマラヤの前縁盆地堆積物の変化



1000万年前に変成岩砂粒出現、洪水堆積物の出現、
750万年前に蛇行河川から網目状河川に変化


ヒマラヤの変成帯を特徴づける藍晶石と
ザクロ石を含む片麻岩。

2. インド洋深海底の堆積物・古生物の変化




南西モンスーンにより湧昇が発生
その結果、1000万年前に冷水塊を好む珪藻が増大
約800万年前に冷水塊を好む浮遊性有孔虫が増大


湧昇流によって出現した冷水塊の指標となった浮遊性有孔虫化石
Globigerina bulloides D'ORBIGNY(電子顕微鏡写真)

3. ヒマラヤ南麓の植生と動物群の変化


600〜800万年前に乾燥化開始と草原の拡大
C3 植物(樹木)からC4植物(草本)への変化

4. インド洋底の圧縮テクトニクスの開始


800〜750万年前にインド洋のプレート内変形開始
ベンガル海底扇状地堆積物の褶曲と逆断層の開始

パネル作成者: 酒井治孝(比較社会文化研究院 環境変動部門 地球変動講座)

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