昆虫
Insects
T
昆虫標本は当館の主要な資料の一つであり、点数では最多を占める100万を超える数となっています。ほとんどが寄贈品や移管資料からなり、主要なものとして、熊本県の大塚勲氏による同地の昆虫相の解明のための収集品、長崎県の神父である烏山邦夫氏による外国産種の大型美麗種を中心とした収集品、そして長年にわたって蓄積された農学部の甲虫類の標本群があります。
いずれも高い学術的な価値を持ちますが、未整理のものも少なくなく、体系的な整理はこれから先も重大な課題となると思われます。しかし、同定の進んだものからデータベース化が進められ、箱の写真によるデータベース作成も進みつつあり、少しずつではあるが、多くの人に利用しやすい状況になりつつあります。また、国内外から、常に学術的研究のための借用の依頼があり、研究成果の一部として、ますます価値が高まっています。
博物館の普及啓発活動や教育活動において、もっとも使用頻度が高いのは、上記の烏山氏の収集品です。たとえば天神地下街で2017年に行った昆虫展示では烏山氏の収集品を効果的に展示し、わずか2週間で4万人の来場者数を記録しました。展示においては常に有用な収集品であり、今後も活躍が期待できます。