貝類
Shells
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貝類とは、軟体動物門の二枚貝綱、腹足綱(巻貝)、頭足綱(オウムガイ等)、掘足綱(ツノガイ等)などのことです。総合研究博物館の古生物分野では化石標本の他に、現生(現代に生きている生物)の貝類標本を多数所蔵しています。これらの標本群は、旧理学部地質学教室の教官・学生達によって収集されたものや、当館第5代館長の松隈明彦先生と教え子たちによって収集・研究されたものです。また、まとまったコレクションとして、佐藤勝義氏、池辺進一氏等によって寄贈された日本産の二枚貝類、腹足類が所蔵されています。
ところで、なぜ化石を研究する古生物学の分野で多くの現生貝類が集められたのでしょうか。それは現生と化石を比較するためです。化石の多くは不完全な状態で発見されます。そのため、現生生物を参考にして元の形態や生態、進化の過程などを復元・推測していきます。特に、軟体動物の貝殻は化石として残りやすく、古生物学において主要な研究対象です。つまり、ここに所蔵されている貝類標本は、軟体動物化石を研究する過程で比較・参考のために収集されたものなのです。それぞれ異なる様々なテーマや方法で収集されましたが、蓄積された標本群は、軟体動物門全体を網羅するようになりました。これらの貝類標本は、体系的に整理することで、古生物学や分類学の研究をはじめ、教育・研究における優れた参考資料となります。